原題:Captives 公開:2015年 上映時間:112分
意味もなく時系列をごちゃごちゃにしたせいで、観客を混乱に陥れてしまうサスペンス映画。
娘を誘拐されたせいで崩壊していく家族が主役です。
しかも一番の売りである、8年後に誘拐犯からのコンタクトがあった!という驚きは最後モヤモヤになります。
もっと面白くできただろうに、非常にもったいない映画です。
監督は「手紙は憶えている 」のアトムエゴヤンデ、主演はデッドプールのライアン・レイノルズです。
あらすじ
新雪降り積もる冬。
マシュー(ライアン・レイノルズ)は9歳になる娘キャスを車に置いて、ダイナーへパイを買いに行きます。
そんなどこにでもある親子の日常だったのに、マシューが車に戻ると娘キャスが消えていました!
2,3分しか車を離れていないのに!どこに行った娘!
しかしどこを探しても娘は見つかりません。
誘拐されたと警察に言いますが、それを裏付ける目撃情報や物的証拠は出て来ません。
挙句に警察は父親のマシューが娘を殺したんじゃないのか?と疑い出すのです。
しかし捜査は進展することなく8年が経過してしまいます…。
8年後
マシューは警察にも疑われるし、妻からは非難されるし、散々な毎日を過ごしていました。あてもなく車を走らせ娘を探しますが、もちろん見つかりません。
そんなある日、突如としてキャスの生存をほのめかすような証拠が、次々と浮かび上がるのです。
誰が誘拐したのか?なぜ誘拐したのか?
その事実は最後にババーンと明かされるのではなく、案外序盤の方でポイっと明らかになります。
犯人は…
犯人は簡単に言えば、少女を誘拐して売りさばく闇組織の人間です。
卑劣ですね。
少女誘拐、監禁と聞くと不気味で暴力的で性的なイメージが思い浮かびます。
でもそんなシーンは本作にはありません。
ザ世界仰天ニュースでやるようなハラハラドキドキする監禁生活は描かれていないのです。
なぜなら本作で重要なのは、監禁からの脱出!ではないからです。
不思議なことに、成長した娘キャスはパソコンを使い組織が行う少女誘拐の手助け、みたいなことをしています。
なんで?なんで誘拐されたアナタが、他の子の誘拐を手伝ってるの?
洗脳されて操られたの?そんなシーンありませんでしたよ。
(ストックホルム症候群だったのかあ、でもそのシーンも無かったし)
犯人がキャスの母親の働く姿を監視する、というのも意味が分かりません。
犯人の不気味な顔は怖くてグッドでしたけどね。
ラスト
終盤は急展開です。
父親マシューが偶然キャスを見つけるのです。連れ帰ろうとすると、犯人に麻酔銃を撃たれてしまいます。
目が覚めたマシューはどうにか娘を探し出し、警察と共に犯人の元へ。
最後、マシューを疑っていたムカツク刑事が犯人を射殺して終わりです。
子供を誘拐する闇組織については分からぬまま…。
うーん、もやもやする。
感想
この映画は何をアピールしたかったんでしょう。
誘拐された家族の悲しみと怒り?
闇組織の怖さ? ネット犯罪への警鐘?
確かに娘を誘拐された夫婦の悲惨さは伝わってきます。
でもそれはあくまでスパイス程度の味付けに過ぎません。
映画全体に漂う不気味さも、もっともっとこわーく恐ろしくできたはずなのに、中途半端です。
褒めるところがあるとすれば、映像の美しさですかね。
カナダに降り積もる雪はとても綺麗です。
静かなシーンにぴったりです。
だからカーチェイスシーンなんていらなかったのになあ。
ハリウッドでも通用するようになのか、本作「白い沈黙」ではちょくちょくアメリカ人が好きそうな要素を入れてきます。
そこがまた映画をややこしくしている気がします。
まとめ
時系列をまぜこぜにすることで、得られたものはなにもありません。
状況把握が難しくなってしまっただけです。
登場する警察も無能すぎるし。 予告編はすっごく面白そうだったのに…。期待しすぎたかもしれません。